「生徒募集が上手くいかない」という個人経営の塾は多くあります。
しかし、少子化でも塾経営が上手くいっている塾もあります。
昨年、知り合いの個人塾の経営者は8000万円の家を新築しています。
地方の小さな町で経営している塾ですが、生徒数は100人を超えています。
年に1〜2回しか広告(新聞折り込み)は出していませんが、それでも生徒が集まっています。
彼がどんな方法で生徒募集をしているのか気になりませんか?
口コミを増やす方法
個人塾の場合、地域密着でやっている方がほとんどだと思います。
知り合いの塾長も完全に地域密着でやっていて、それでも生徒を集めています。
彼が経営している地域には3つの小学校と2つの中学校、それに高校が1つあります。
メインは中学・高校生で各学年20名程度の生徒がいます。
中学受験のコースは開設していないので、小学生は4〜6年生で各学年5〜7名程度となります。
トータルで100名以上の生徒が通っている個人塾になります。
では、どうやって生徒を集めているかというと、全て自社手作りの広告やお知らせをもとに口コミによって塾生を獲得しています。
広告は自社作成で
個人塾の場合、業者に広告作成を依頼するのではなく自社で作成した方がいいでしょう。
理由としては、
- 費用を抑えることができる
- 本当に伝えたいことが書ける
- 塾の雰囲気を伝えられる
上記の点が挙げられます。
まず、費用に関しては自社で作成するであれば作成費はかかりません。
限られた資金を広告以外に使えるので有効活用しましょう。
次に本当に伝えたいことを書くことができるというメリットがあります。
広告作成会社に依頼する場合も内容を伝えると思いますが、他人が作ることによりニュアンスが変わってしまうことがあります。
それに、大手塾と同じような広告を作っても差別化はされません。
そこで、見てもらえる工夫を凝らした広告を作るためには自社作成の方が適しています。
最後に自社作成する最大のメリットとして、塾の雰囲気を伝えることができるという点があります。
自主作成の広告例
知り合いの塾長が作成している広告は毎回B4版の黄色の紙に黒一色の文字だけとなっています。
パソコンを使って作成していますが、「手書きフォント」を使っていてぱっと見は手書き広告かといった印象です。
レイアウトにも工夫がされており、大手塾のような綺麗な表などはありません。
どちらかというとゴチャゴチャしていて読みにくいといった印象ですが、一つ一つが独立した内容となっているので、気になったところだけを読んでもらえればいいという感じです。
新聞折り込みにしている理由は、新聞を取っている家庭の保護者の方が意識が高いと考えるからとのことです。
新聞折り込みで不定期に出している広告ですが、「あの黄色のチラシを見てやる気になった。全部取ってあります」と話す生徒もいたそうです。
大手塾の広告を全部取ってある生徒はいないと思います。
その話を聞いて大手塾と差別化ができているのだなと感じました。
毎月のお知らせに生徒・保護者の声を載せる
個人塾でも毎月のお知らせを配布していますか?
配布している場合、予定表だけになっていませんか?
毎月のお知らせは口コミを増やすツールとなるので、有効活用していきましょう。
毎月のお知らせの中に生徒・保護者の声を入れると読んでもらえるようになります。
もちろん事前に承諾をもらう必要がありますが、出たいと思っている生徒・保護者は結構いると思います。
「出たいと思っている生徒・保護者=塾が好き」ということも分かるので、口コミをしてくれる可能性の高い人となります。
ではどんな内容で生徒・保護者の声を載せるかというと、「前月に頑張っていた人」という欄を作ると簡単です。
頑張った内容はなんでもいいのですが、塾のアピールになるものであれば更に効果的でしょう。
お知らせの予定表を見て、「◯月◯日に塾のテストがあるわよ。一緒にどう?」と口コミをしてくれると思いますが?
お友達のお母様と話をしている中で、塾のテストの日まで記憶に残っていないでしょうね。
それが、「◯◯さんのお子さん期末テストで学年1位だったみたいよ」といった内容だったら、お友達のお母様に話したくて仕方ないのではないでしょうか。
そこから塾の話になっていくというのは自然の流れだと思います。
意識した口コミではありませんが、十分に口コミの役割を果たしてくれていますよね。
注意が必要な点としては、毎月同じ学年の生徒にならないようにすることです。
生徒募集の核となる学年があると思いますが、偏り過ぎてしまうと段々と読んでもらえなくなってしまうので注意が必要です。
毎月学年や性別を変えて生徒・保護者の声を載せるようにすると、毎月のお知らせをもとに口コミをしてくれる人が出てくるのではないでしょうか。
紹介カードは財布に入る大きさが重要
塾の話が出る場面を考えてみてください。
お友達のお母様とカフェでお茶をしているときなどは、お子様の話が出てくることでしょう。
そのときに塾の話題になることも考えられます。
最近はスマホがあるので、さっとホームページを見たりもすることでしょう。
そこで、塾の紹介カードに自社ページへのQRコードを載せておくことをおすすめします。
このブログのトップページのURLをQRコードに変換したものです。(「QRコード作成」で検索すると簡単にできます)
こんな感じで自社のホームページのQRコードを紹介カードに載せておくと見てもらえる機会が増えると思います。
紹介カードは財布に入る大きさ、目立つ色で作成するとよいでしょう。
紹介者と被紹介者のどちらにも特典を付けておくと更に効果的です。
核になる保護者を囲い込め
上に口コミについて書きましたが、口コミをしてくれる人としてくれない人がいることを理解しておきましょう。
ここでは口コミをしてくれる保護者に、更に口コミをしてもらえるようにする方法を見ていきます。
まず、口コミをしてくれる保護者の見分け方ですが、簡単な方法として塾に来る頻度が高い保護者はしてくれると考えてよいでしょう。
その中でも成績が優秀なお子様の保護者は大切にしていきましょう。
塾に対する満足度が高いケースが多いので、口コミをしてくれる可能性が高いと考えられます。
では、どのように大切にしていき口コミをしてもらえるようにするのか見ていきましょう。
脱平等主義
「平等=良い」が染み付いていませんか?
ビジネスにおいては平等でない方が上手くいくことも多々あります。
例えば、大手百貨店などでも上客に対しては特別なサービスをするのが当たり前になっていたりもします。
そこで、大切にしたいと思っている保護者に対しては、少しサービスをするようにしていくとよいでしょう。
具体的には、個別面談の時間を長めに設定するとか、講習会の日程を事前に知らせておくといったようなことです。
その際、サービスしていることをさりげなくアピールすることを忘れないようにしましょう。
面談時
保護者「時間が長くなってしまいましたが、次の方は大丈夫ですか?」
塾長「次の時間は空けてあるので大丈夫ですよ」
講習会の日程
塾長「まだ正式には決まってないのですが、この日程で講習会をやろうと思います。ご予定は大丈夫ですか?」
保護者「◯日〜◯日まではサッカーの合宿があって」
塾長「なるほど。少し調整してみますね」
※同じサッカークラブに通っている塾生も合宿で講習会に参加できなかったのを防ぐ効果もあります。
特別感を持ってもらったり、有益な情報を渡したりすることで周りに伝えたいという感情を高めていくことができます。
イベントは大手進学塾と差別化のチャンス
大手進学塾と差別化をすることで生徒募集に繋がるチャンスが広がります。
「◯◯塾は大手と違ってこんなことをしているみたいよ」といった口コミが出てくると更に効果的です。
どの塾でもイベントを計画し、開催していることでしょう。
保護者会・定期テスト対策・英検対策・講習会・合宿・入試セミナーなどが塾のイベントとして思いつくのではないでしょうか。
残念ながら上に挙げたイベントは大手進学塾でもやっているので、差別化には繋がりません。
逆に情報量では大手の方が強いので、内容で負けてしまっている可能性もあります。
そこで、大手進学塾ではやらないようなイベントを考えてみましょう。
勉強以外のイベントでもOK
定期テストが終わった後などに、体を動かすイベントを開催してもよいでしょう。
時間貸しをしてくれる体育館などで行う球技大会です。
小学生はドッジボール、中学生はバスケ・バレーボールなど。
スポーツが得意な生徒は活躍のチャンスとばかりに張り切ることでしょう。
定期テストが終わった後の恒例イベントとして定着させれば、スポーツ好きな生徒のモチベーションを高めることもできます。
また、地域にもよりますが「みんなで富士山登頂」といったようなイベントも面白いと思います。
大手の進学塾は勉強に関するイベントしかやっていないと思いますので、差別化を図るチャンスですね。
保護者対象のイベント
保護者会・個別面談・入試セミナーなどは大手進学塾でもやっています。
個人塾でも個別面談はやった方がよいと思いますが、保護者会や入試セミナーは情報量で大手に勝てるようでなければ避けた方が無難です。
もし保護者会や入試セミナーを行うのであれば、
- 学年1位の生徒の普段の勉強の様子
- 過去数年度の志望校合格率が高かった理由
など、大手進学塾とは違った観点で話をしていく必要があります。
個人塾の場合は、保護者会や入試セミナーとは違ったイベントを計画してみると効果的です。
例えば、「保護者のための算数・数学教室」とか、「国文法を思い出す会」といったような感じです。
どちらも保護者の方がお子様に教えることができない分野を授業形式で行えばよいでしょう。
お子様に教えたいけど教えることができない保護者の方は多くいます。
中には塾での教え方と自分の教え方が違ったら子どもが混乱してしまうから教えられないといった方もいます。
であれば、塾での教え方をそのまま保護者に教えてあげればいいのではと思います。
普段使っている教材をそのまま使えるので手間もかかりません。
さらに、社員教育になると思いませんか?
準備をいつも以上にしておく必要がありますし、保護者を前に授業をするとなると緊張もすることでしょう。
修羅場を経験することで、塾講師としての力量が上がっていきます。
保護者を対象としたイベントでも、大手の進学塾と差別化を図ることが生徒募集に繋がりますよ。
まとめ
「今年は上手くいかなかったが、来年は集まるでしょ」と、そのままにしていてはジリ貧になってしまいます。
戦略を練って行動に移していくことで、活動的な塾だということをアピールしていく必要があります。
一回の広告で生徒募集が上手くいけば、どの個人塾も苦労していませんよね。
計画的に地道に生徒数を増やしていけるように戦略を練ることが大切です。
私が新規立ち上げに関わった塾では、「ホップ・ステップ・ジャンプ」の3年計画で軌道に乗るように計画を立てました。
また、立て直しを図るために派遣された教室でも3年計画で軌道に乗せるよう進めていきました。
1年目:赤字脱却
2年目:黒字化
3年目:黒字化の継続
イメージとしては上のような感じです。
地域にもよりますが、4年目以降も黒字幅拡大を目指すのであれば、違ったやり方を考えないと難しくなってきます。
その方法はまた書いていこうと思います。
まずは、現状からの脱却を目指して、大手進学塾との差別化を図っていきましょう。