中学2年生の頃に塾に来たSさんの話です。
塾に来た当初から、授業中にノートを取ることもなく自分のことをしていました。
注意しても変えることなく自分の勉強をしていました。
結局、最後まで講師の言うことを聞くことはありませんでした。
何のために塾に来たのでしょう。
今回は、Sさんの塾での様子と受験について書いていきたいと思います。
中学2年生で塾に来たSさん
友達の紹介でもなく、Sさんは自分から塾に来ました。
両親と一緒に説明を聞きに来て、そのまま入塾テストを受験。
その日のうちに採点をして結果を伝えました。
Sさんの成績は英語がずば抜けて良かったのを覚えています。
説明を聞きに来た日に確認したところ、Sさんは中学2年生で英検2級に合格していました。
国語と数学も60点くらいで、悪い点ではありませんでした。
入塾テストの結果を伝えたところ、翌日には入塾の手続きに来ました。
その日に中学2年生の授業があったため、参加してみないかを確認すると「参加する」とのことでした。
とてもやる気のある生徒だと感じたのですが、初回の授業から様子がおかしかったのです。
担当した講師(数学)の話を聞くと、「授業中にノートを取るでもなく、説明を聞くでもなく、自分で問題を解いているだけだった」とのこと。
塾の授業の受け方が分からないだけだと思い、次の授業の担当(英語)に注意するよう伝えておきました。
2日後の英語の授業。
やはりSさんは自分で問題を解くだけでした。
英語の講師が注意しても直すことなく、自分の勉強をしているだけでした。
母親からのクレーム
お母様に塾でのSさんの様子を伝え、改善してもらえるよう話をしました。
その日は「分かりました」と言ってもらうことが出来、次の授業から変わるのではないかと期待をしていました。
次の授業でのSさんはというと、やはり「ノートを取るでもなく、説明を聞くでもなく、自分で問題を解いているだけ」で変わることはありませんでした。
お母様に再度伝えたところ、その時も「分かりました」と言ってもらうことが出来たのですが、Sさんの様子は変ることがありませんでした。
中学3年生の1学期になって、お母様から連絡がありました。
「塾のテキストの解答は配らないのですか?」
塾の授業で使っているテキストの解答は配っていませんでした。
しかし、宿題用のテキストの解答は配っています。
そのことをお母様に伝えたのですが、「全てのテキストの解答を下さい」と言われました。
他の生徒のこともあるので、「授業中に解説をして、答えを伝えている」ことを説明したのですが、全く聞いてもらうことが出来ませんでした。
何度か話し合いをしたのですが、どうしても納得してもらうことが出来ず、特例で解答を渡すことになってしまいました。
志望校選び
中学3年生の2学期になり、志望校を決めることになりました。
しかし、Sさん本人もお母様も「検討中です」しか言いません。
何度も「過去問の対策をする必要があるのですが」と伝えたのですが。12月になっても「検討中です」だけで、過去問の対策などをすることが出来ませんでした。
冬期講習にも来るのですが、最後の追い込み時期になっても「ノートを取るでもなく、説明を聞くでもなく、自分で問題を解いているだけ」だけでした。
結局、Sさんに志望校を教えてもらえたのは受験1週間前になってからでした。
埼玉県の学校で慣らしをし、本命は「早稲田大学本庄高等学校」とのこと。
2月10日は「早稲田実業」を受験するとのこと。
本当に驚きました。
どうも過去問は自分でやっていたようですが、早慶付属高校を受験するのであれば、塾でしっかり対策をした方が効果的だったと思います。
埼玉の私立高校の入試1週間前でしたので、今から出来る対策は限られています。
ただ、Sさんは最後まで各科目の担当講師に言われたことはしませんでした。
Sさんの受験結果
埼玉の私立高校の結果発表の日、Sさんから合否の連絡はありませんでした。
次の日が授業だったので、塾に来た時に聞くことにしました。
塾に来たSさんに「結果はどうだった?」と尋ねると、「合格でした」とのこと。
「結果が出たら教えてね」と伝えると、「分かりました」と返事をしてくれました。
2月に入るとSさんは授業を休むようになりました。
結局、Sさんは2月の授業に1回も来ることはありませんでした。
早稲田大学本庄の結果発表の日、Sさんからの連絡はありませんでした。
次の日に電話をしてみても、誰も出ません。
その次の日に改めて電話をしてみましたが、やはり誰も出ませんでした。
2月10日なり早稲田実業の受験日。
受験応援に行きましたが、Sさんの姿を見つけることは出来ませんでした。
早稲田実業の結果発表の日も、Sさんからの連絡はありませんでした。
何度か電話をしてみましたが、最後まで繋がることはありませんでした。
学校には行っていることを、Sさんと同じ中学校の生徒から聞きました。
しかし、同じ中学校の生徒も早稲田大学本庄、早稲田実業の合否は分からないとのこと。
結局、Sさんが早稲田大学本庄と早稲田実業に合格したのかは分からないままでした。
4月になって
Sさんたちの学年が卒業し、4月になったある日、卒業生が塾に遊びに来ました。
その時、Sさんの話が出たのですが、埼玉県の私立高校の制服を来て駅にいたのを見たとのこと。
結局、Sさんは試し受験で合格した埼玉県の私立高校に進学したようです。
同じ中学校だった生徒も、Sさんと話をする機会はあまりなかったようで、卒業してからは見かけただけで、会って話をしたりすることはなかったそうです。
まとめ
塾に来て授業を聞くでもなく、志望校の相談をするでもなく、受験対策をするでもなく、Sさんはどうして塾に来たのか最後まで分かりませんでした。
注意をしたり、面談をしたり、お母様と話をしたりしましたが、最後まで変わってもらうことが出来ませんでした。
長く塾講師をしていましたが、初めてのことでした。
中学3年生の2月までは授業を1回も休むことなく、「退塾したい」という話も全くありませんでした。
塾を上手く利用してもらうことが出来なかったことを後悔しております。
もうSさんは社会人になっていると思いますが、自分の希望する道に進んでいて欲しいと願うばかりです。