「近所に大手進学塾ができてから、問い合わせがピタリと止まった・・・」
「授業の質には自信があるのに、なぜか生徒が集まらない・・・」
個人塾を経営していると、資本力も知名度もある大手塾の存在は、ときに大きな壁のように感じられるかもしれません。
しかし、断言します。
個人塾には、個人塾にしかできない「大手への勝ち方」が必ずあります。
私はこれまで、2度の個人塾立ち上げに携わり、同時に大手進学塾の新ブランド教室の立ち上げという、いわば「敵陣」の裏側も見てきました。
その経験から学んだのは、個人塾と大手塾では「成功のルール」が根本から異なるということです。
実は、私が関わった教室の中でも、失敗したものと成功したものがありました。
その明暗を分けたのは、指導力以前の「立地」「ターゲット」「授業料設定」という、極めて戦略的な選択でした。
この記事では、私が実体験から得た「確実な情報」だけに基づき、無名の個人塾が大手塾に負けないための具体的な経営戦略を公開します。
- 大手が進出してこない「必勝の立地」の選び方
- なぜ「全員合格」を目指すと生徒が集まるのか
- 経営を圧迫しない、適正な「高単価」の決め方
生徒募集に苦戦し、現状を打破したいと考えている経営者の方は、ぜひ最後まで読み進めてください。
あなたの塾を「選ばれる塾」に変えるヒントがここにあるはずです。
1. 【立地】大手と戦わない「空白地帯」を狙う
個人塾の経営において、立地選びは成功の8割を左右すると言っても過言ではありません。
どれほど指導力が優れていても、場所選びを間違えれば、集客の難易度は跳ね上がってしまいます。
まず理解すべきは、大手塾と個人塾では「狙うべき領土」が根本的に異なるという点です。
大手塾が駅前に集まる理由
大手進学塾の狙い目は、常に交通の便が良い「駅前」です。
彼らは巨額の固定費を賄うために広範囲から大量の生徒を集める必要があり、電車やバスで通いやすいターミナル駅周辺に拠点を構えます。
ここに、無名の個人塾が真っ向勝負を挑んではいけません。
同じ土俵(駅前)に立てば、保護者はどうしても「名前の知れた大手」とあなたの塾を比較してしまいます。
ブランド力と資金力で圧倒される場所に、わざわざ高い家賃を払って出店するのはリスクが大きすぎます。
では、どんな場所に教室を開くのが良いか考えてみましょう。
個人塾が狙うべき「学校の中間地点」
個人塾が狙うべきは、駅から離れた「住宅街」や「学校のすぐそば」です。
言い換えると、一人勝ち出来る場所を見つけることです。
- 戦略的ターゲット: 交通の便は悪いが、小・中学校が2〜3校重なっているエリアの中間地点。
- メリット: 大手塾が「集客効率が悪い」と見なして進出してこない、いわば空白地帯です。
地域に根ざした場所であれば、生徒は自転車や徒歩で通うことができます。
保護者にとっても「夜遅くに駅前まで送迎しなくて済む」という、大手にはない物理的な利便性が生まれます。
個人塾の場合、交通の便が悪いところを狙っていくと大手進学塾とバッティングしないですみます。
大手が進出してこない場所で、その地域の学校に特化した指導を行う。
この「一人勝ちできる場所」を見つけることこそが、集客に困らない塾経営の最初のステップです。
2. 【ターゲット】「平均点」を捨てて尖らせる
生徒募集に苦戦している塾の多くは、少しでも門戸を広げようとして「誰でも歓迎」「全レベル対応」という看板を掲げてしまいがちです。
しかし、実はこれが集客において最もやってはいけない逆効果な戦略です。
大手塾が抱える「平均値のジレンマ」
大手塾は、莫大な校舎維持費や広告費を捻出するために、常に大量の生徒を確保し続けなければなりません。
そのため、成績上位から下位まで、可能な限り幅広く集客を行います。
その結果、必然的にクラスの授業は「平均点 ±10点」のボリュームゾーンに合わせた内容に落ち着きます。
すると、以下のような不満が生まれます。
- 上位層: 「授業が簡単すぎて退屈」「もっとハイレベルな問題を解きたい」
- 下位層: 「解説が早すぎてついていけない」
この「平均値のジレンマ」こそが、大手の隙点であり、個人塾が勝機を見出すべきポイントです。
個人塾は「上位」か「下位」に突き抜ける
個人塾の場合、立地条件の次に重要な点がターゲットを絞って集客していくことです。
大手塾を敬遠している層を確実に取り込むには、ターゲットを極端に絞り、個性を尖らせることが不可欠です。
私の経験上、最も運営が安定し、成功しやすいのは「成績上位層」への特化です。
- 「あと10点」にこだわる層を狙う 「地域トップ校にどうしても合格したい」「学校の授業では物足りない」と感じている層は、自分たちのレベルを維持してくれる環境を常に探しています。
- 運営上の大きなメリット 成績上位層をターゲットにすると、副次的なメリットが非常に大きいです。学習意欲の高い生徒が集まるため、授業の規律が保たれやすく、生活指導や素行トラブルに経営者のリソースを奪われることが激減します。
また、意識の高い保護者同士のネットワークは強固です。
「あそこの塾は、デキる子しかいない」という評判が一度立てば、広告を出さずとも質の高い「口コミ」だけで次々と生徒が集まる好循環が生まれます。
「成績が優秀な生徒だけが通う塾」という評判が広がれば、同じような生徒は通いたいと思うことでしょう。
自然と出来る生徒だけが集まれば、次の年も同じような流れになります。
逆に成績が悪い生徒は敬遠すると思います。
あとはより良いサービスを提供していくことだけを考えれば塾生集めに苦労することはなくなります。
「全員」を救おうとするのではなく、特定の層にとって「ここしかない」と思われる場所を作ること。
それが、小規模でも勝ち続けるための鉄則です。
3. 【付加価値】数字で見える「圧倒的な強み」を作る
集客に苦戦している塾のホームページやチラシでよく見かけるのが、「丁寧な指導」「アットホームな雰囲気」「一人ひとりに寄り添う」といった言葉です。
しかし、これらは形のない曖昧な表現であり、残念ながら保護者の入塾を決意させる決定打にはなりません。
個人塾が大手塾に打ち勝つためには、誰もがひと目で納得できる「極端なまでの可視化」が必要です。
「合格者数」ではなく「率と順位」で圧倒する
実績アピールにおいて、分母の大きい大手塾に「合格人数」で挑むのは無謀です。
個人塾が掲げるべきは、分母が小さくても達成できる「合格率」や「学年順位」という指標です。
- 「地域トップ校へ3年連続・全員合格」
- 「在籍生の◯%が学年10位以内」
- 「定期テストで学年1位を輩出」
このように、「ここに行けば、わが子もそうなれるかもしれない」と直感的に思わせるパワーワードをフロントに立たせてください。
合格実績の「人数」では勝てなくても、特定の学校における「占有率」や「合格率」なら、個人塾でも十分に地域ナンバーワンを狙えます。
大手には不可能な「徹底的なこだわり」
また、サービス面でも「極端さ」を追求しましょう。
大手塾はカリキュラムがガチガチに決まっており、一人の講師が多くのコマを担当しているため、イレギュラーな対応が苦手です。
そこを突き、個人塾ならではの「柔軟かつ濃密な指導」を強みにします。
例えば、クラスで最も優秀な生徒のレベルに合わせた「超ハイレベルな授業」を展開し、自尊心を刺激しながら学力を引き上げます。
一方で、少しでも遅れが出そうな生徒には、あらかじめ枠を確保しておいた「無料の徹底補習」で即座にフォローする。
「一番できる子をさらに伸ばし、かつ誰一人として脱落させない」という徹底したこだわり。
これが目に見える結果(数字)となり、他塾には真似できない強力な口コミの源泉となるのです。
4.【価格】「安さ」を売りにすると失敗する
授業料の設定は、塾の命運を分ける最も難しい決断です。
しかし、多くの個人塾が陥る最大の罠は「大手より安くすれば生徒が集まる」という思い込みにあります。
「高い」には価値がある:100名超でも赤字の教訓
授業料をいくらに設定するかは1番難しいところです。
私はかつて、生徒数が100名を超えているにもかかわらず、利益が出ずに赤字という極めて苦しい状況を経験しました。
単価を安くしすぎると、利益を出すためには常に大量の生徒を集め続け、教室をパンパンに稼働させなければなりません。
その結果、講師(あるいは経営者自身)の疲弊を招き、肝心の指導の質が落ちるという最悪の悪循環に陥ります。
- 戦略: 授業料は、大手塾と同等、あるいはそれ以上に設定する。
- 理由: 「高単価=限られた人だけが受けられる特別な教育」というブランドイメージを構築するため。
「安いから行く」という層ではなく、「高くても、それ以上の価値があるから通わせる」という意識の高い保護者をターゲットにすることで、経営の安定と指導の質を両立させることが可能になります。
安易な「キャンペーン」の落とし穴
大手塾がよく行う「入塾金無料」や「1ヶ月無料」といった割引キャンペーン。
個人塾でも真似したくなりますが、これには慎重になるべきです。
安易な割引は、長期的に見て塾の首を絞めることになります。
- 既存生徒との不公平感: すでに正規料金を支払って通っている保護者にとって、後から来た人が「無料」になるのは決して面白いことではありません。この小さな不信感が、退塾の引き金になることすらあります。
- 生徒の質の低下: 「無料だからとりあえず」と入塾してくる層は、往々にして学習意欲が低く、宿題の未提出や遅刻など、クラスの規律を乱す原因になりがちです。
私が唯一推奨する割引は、「兄弟割引」のみです。
これは単なる集客目的ではなく、すでに塾の方針を理解し、信頼してくださっている家庭への「感謝の証」として機能します。
結果として家族ぐるみのファンが増え、長期的な在籍につながるからです。
「安さ」ではなく「価値」で選ばれる塾を目指すこと。これが、小規模塾が生き残るための唯一の正解です。
すでに単価を安く設定してしまっている方へ
もし今、すでに低単価で運営しており「値上げをしたら生徒が辞めてしまうのではないか」と不安に感じているなら、以下の2つのステップで改善を図ってください。
- 「物価高」や「サービス拡充」を理由に改定する 何の理由もなく値上げをするのは困難です。世の中全体の物価上昇に合わせる、あるいは「演習時間の追加」「オンライン質問対応の導入」など、目に見える新サービスを追加したタイミングで授業料を改定します。
- 新規入塾生から新価格を適用する 在籍中の生徒の月謝を上げるのが難しい場合は、まず「次回の新規募集」から新価格を適用してください。既存生と新入生で価格差が出る期間が生じますが、数年かけて入れ替わることで、無理なく塾全体の平均単価を引き上げることができます。
まとめ:個人塾の強みを最大化し、「選ばれる理由」を明確にしよう
個人塾を立ち上げ、経営し続けることは決して簡単なことではありません。
しかし、大手塾のようなマニュアルや制約に縛られることなく、自分の理想とする教育を追求できるのは個人塾だけの特権です。
今回ご紹介した戦略を改めて整理します。
- 立地の戦略: 大手と真っ向勝負せず、学校近くの「空白地帯」で一人勝ちを狙う。
- ターゲットの戦略: 「全員」を救おうとせず、成績上位層など特定の層に特化して尖らせる。
- 付加価値の戦略: 「全員合格」や「順位」など、目に見える数字で圧倒的な強みを可視化する。
- 価格の戦略: 安売りせず、価値に見合った高単価を設定し、経営の安定と質の向上を両立させる。
生徒のためを思うのは当然ですが、それだけでは経営は成り立ちません。
「大手塾には真似できない、あなたの塾にしかない強み」を口コミに乗せて広めていく戦略が不可欠です。
もし今、集客や経営に行き詰まっているのなら、まずはターゲットの絞り込みや、数字で見せられる強みの棚卸しから始めてみてください。
この記事が、あなたの塾が地域で唯一無二の存在となり、多くの生徒の未来を切り拓く一助となれば幸いです。

