「塾に行かずに中学受験に挑戦する!」と決めたとき、最初はやる気に満ちあふれていたはずです。
でも、いざ模試の結果が手元に届いたり、志望校を決める時期が近づいてきたりすると、ふとした瞬間に「このままで大丈夫なのかな?」と不安が襲ってくることはありませんか。
特に大きな悩みとなるのが、「志望校選びを相談できるプロが身近にいない」ということです。
塾に通っていれば、担当の先生が過去のデータをもとに「この成績ならこの学校が狙い目ですよ」「この学校は実はお子さんの性格に合っていますよ」とアドバイスをくれます。
しかし、市販教材を中心に家庭学習で進めていると、分厚い偏差値表を前にして立ち尽くしてしまいがちです。
- 「模試の判定が20%以下だったけれど、もう諦めるべき?」
- 「この偏差値で、本当にこの学校に合格できる可能性はあるの?」
- 「パンフレットには良いことしか書いていないけれど、学校の本当の雰囲気はどうなんだろう?」
こうした「学校の裏側」や「合格への距離感」を教えてくれるパートナーがいない状況は、暗闇の中をライトなしで歩いているような心細さがあるかもしれません。
でも、安心してください。
塾の先生がいなくても、納得のいく志望校選びは十分に可能です。
この記事では、塾に通わず家庭学習で頑張る皆さんが、自信を持って「ここだ!」と思える学校を見つけるためのヒントを詰め込みました。具体的には、以下の3つのポイントを中心に解説していきます。
- 塾の先生がいなくても、模試の結果を正しく読み解く方法
- 自分たちだけで「運命の学校」を見つけるためのチェックリスト
- 個別相談で、学校の先生を「味方」にするコミュニケーション術
「塾なし」だからこそ、周りの意見に流されず、お子さんの個性に100%向き合った学校選びができるという強みがあります。
まずは一歩ずつ、その不安を「ワクワクする未来への準備」に変えていきましょう。
ステップ1:模試の結果(偏差値)の正しい見方

塾に通っていないと、模試の結果が返ってくるたびに「この数字だけで判断していいの?」と頭を抱えてしまいますよね。
でも大丈夫です。
偏差値は「合格・不合格を決める審判」ではなく、今の立ち位置を教えてくれる「地図」のようなもの。
正しく読み解けば、塾の先生がいなくても戦略は立てられます。
偏差値は「今の実力」ではなく「立ち位置」の目安
まず知っておいてほしいのは、偏差値はコロコロ変わるものだということです。
特に塾なしで頑張っている子は、習っていない単元が模試に出るとガクッと数字が下がります。
- A判定でも油断は禁物: その模試の出題範囲が、たまたま得意なところだっただけかもしれません。
- E判定からでも逆転は可能: まだ解き方を知らないだけの単元が多い場合、そこを埋めるだけで一気に伸びます。
偏差値は「今の点数」を見るのではなく、「どこの単元で点数を落としたか」を確認するための道具だと割り切りましょう。
持ち偏差値をもとに「3つのグループ」を作ろう
塾なし受験を成功させるコツは、1校に絞らず、自分の偏差値を基準に「3つの層」で学校をリストアップすることです。
| グループ名 | 偏差値の目安 | 役割と心構え |
|---|---|---|
| 挑戦校 | 持ち偏差値 +5以上 | 「あこがれの学校」。最後まで諦めずに目指す場所。 |
| 適正校 | 持ち偏差値 ±5以内 | 「実力が発揮できれば受かる学校」。ここを数校選ぶ。 |
| 安全校 | 持ち偏差値 -5以下 | 「ここなら確実に合格できる学校」。ここを一番好きになるのがコツ! |
ここで最も大切なのは、「安全校を妥協で選ばないこと」です。
塾の先生がいれば「滑り止め」という言葉を使うかもしれませんが、塾なし受験では「ここなら安心して楽しく通える!」と思える安全校を真っ先に探してください。
心の安定が、挑戦校への爆発力を生みます。
算数の配点と「問題の相性」をチェック
偏差値以上に大切なのが、志望校の「入試問題との相性」です。
例えば、偏差値が少し足りなくても、以下のようなケースでは合格の可能性がグッと高まります。
- 算数が得意な子: 算数の配点が他の教科より高い学校を選ぶ。
- コツコツ型の子: 難問は少ないけれど、基礎問題を大量に解かせる学校を選ぶ。
- 記述が得意な子: 記号選択ではなく、自分の言葉で説明させる問題が多い学校を選ぶ。
塾なし組がチェックすべき「模試の復習ポイント」
塾の先生がいない代わりに、自分たちで以下の3点をチェックしてみましょう。
- 正答率50%以上の問題を間違えていないか?
ここを落としているなら、志望校のレベルに関わらず「基礎」に戻るサインです。 - 空欄のまま出した問題はないか?
時間が足りなかったのか、全く歯が立たなかったのか。時間配分の練習が必要かどうかがわかります。 - 計算ミスや漢字の書き間違いはないか?
これだけで偏差値が3〜5変わることもあります。「もったいない」で済ませず、徹底的に対策しましょう。
偏差値という「数字」に振り回される必要はありません。
数字の裏側にある「お子さんの得意・不得意」を見つめること。
それが、塾なし受験における最強の志望校選びの第一歩になります。
ステップ2:学校説明会は「ここ」を見る!自分たちだけのチェックポイント

ネットの情報や偏差値表だけでは見えてこない「学校の正体」を知る唯一の方法が、実際に足を運ぶことです。
ここでは、塾経営者や塾講師たちが裏側でこっそり見ている「本当のチェックポイント」を伝授します。
パンフレットに書かれた「綺麗な言葉」に騙されず、プロと同じ視点で学校を観察してみましょう。
塾講師の本音①「綺麗な校舎」より「掲示物の鮮度」を見ろ
塾なしで頑張る子が最も気にするべきは、学校の「管理能力」です。
校舎が新しいかどうかは親の好みですが、実は「掲示物」にこそ学校の本質が表れます。
- 古いポスターがずっと貼られていないか?
→ 先生たちの目が行き届いていない、または事務作業が疎かになっているサインです。 - 生徒が作った壁新聞やレポートの内容は?
→ 「全員同じテンプレート」なら管理教育が強い学校。「一人ひとりの個性が爆発している」なら自主性を重んじる学校です。塾なしで育った自立心のある子には、後者の方が伸び伸び過ごせるかもしれません。
塾講師の本音②「在校生の目」が死んでいないか?
学校説明会の日、先生たちは「よそ行きの顔」をしていますが、生徒たちは隠せません。
塾の講師が下見に行く際、必ずチェックするのは以下の3点です。
- 挨拶を返してくれるか?
「こんにちは!」と向こうから言ってくるか、こちらが会釈して「あ、どうも…」と目を逸らすか。これは学校の「心の教育」のバロメーターです。 - 休み時間の過ごし方は?
みんなでワイワイしているのか、スマホ(やタブレット)に夢中なのか、それとも一人で本を読んでいるのか。わが子がその輪の中にいる姿を想像してみてください。 - 靴箱とトイレの「荒れ具合」
「心の乱れは環境に出る」と私立中の先生は口を揃えます。靴がバラバラに突っ込まれていたり、トイレのスリッパが散乱していたりする学校は、学習指導も大雑把になりがちです。
塾講師の本音③「説明会の構成」で学校の熱量がわかる
説明会で登壇する先生の話す内容にも、注目すべきポイントがあります。
- 「進学実績」ばかり強調する学校
→ お尻を叩いて勉強させるスタイルです。塾なしで習慣ができている子には合いますが、詰め込みすぎると燃え尽きるリスクも。 - 「生徒の日常エピソード」を話す学校
→ 先生が生徒一人ひとりをよく見ています。学校の先生が手厚く見てくれる環境は、塾なし組にとって大きな安心材料になります。
塾なし家庭専用・学校見学チェックリスト
これを持っていけば、塾の先生並みの「目利き」になれるチェックリストを作成しました。
| チェック項目 | ここをチェック! | プロの視点 |
|---|---|---|
| 通学路の雰囲気 | コンビニや遊び場が多すぎないか? | 寄り道の誘惑は、塾なしで自律してきた子の天敵。 |
| 先生同士の会話 | 先生たちが笑顔で協力し合っているか? | 先生の仲が悪い学校は、トラブル対応が遅いです。 |
| 自習室の様子 | 実際に使っている生徒はいるか? | 塾なし組にとって、放課後学習できる環境は宝物。 |
| 図書館の本 | 最新の図鑑や話題の本が揃っているか? | 知識のアップデートに敏感な学校かどうか。 |
迷ったら「雨の日」や「放課後」をこっそり覗く
説明会は、学校にとっての「最高のおめかし」です。
本当の姿を知りたいなら、普通の平日の放課後や、雨の日の下校風景を校門の外から眺めてみてください。
「傘の差し方、友達との話し方、電車の乗り方」など、そこに現れるのが、入学後にお子さんが手にする「日常」そのものです。
「塾の先生がいないから判断できない」なんてことはありません。
親の直感は、時にプロの分析を超えます。
「この子をこの学校に預けて、毎日笑って帰ってくる姿が想像できるか?」。
この直感を、何よりも大切にしてください。
ステップ3:個別相談は「プロの意見」をもらうチャンス!

「塾に通っていないから、プロのアドバイスがもらえない」と嘆く必要はありません。
実は、志望校の先生こそが、その学校における世界最高のプロフェッショナルです。
個別相談の場を「合否を判定される場所」ではなく、「無料で受けられる超贅沢な教育コンサルティング」だと考えてみてください。
塾の先生がいない分、学校の先生を自分たちの味方にしてしまいましょう。
個別相談は「テスト」ではなく「マッチング」
多くの親御さんが「変なことを聞いたらマイナス評価になるかも」と緊張されますが、それは大きな間違いです。
私立中学校の先生たちの本音は、「うちの学校を本当に好きで、ミスマッチのない子に来てほしい」という一点に尽きます。
特に、塾なしで頑張っている家庭に対して、先生たちは好意的なことが多いです。
なぜなら、「自分の頭で考え、家庭でコツコツ努力できる自立した子」は、入学後に最も伸びるタイプだと知っているからです。
先生の心を動かす「魔法の質問リスト」
塾の先生の代わりをつとめてもらうために、以下の3つの質問をぶつけてみてください。
①「この偏差値帯で入学した子は、その後どう伸びていますか?」
入試の合格ラインギリギリで入った子が、その後学校のフォローでどう成長したかを聞きましょう。
「下位で入っても、放課後の補習で難関大に合格した子がいますよ」といった具体的なエピソードが聞ければ、塾なし組にとってこれ以上の安心材料はありません。
②「塾に行かなくても、学校のフォローだけで大学受験は大丈夫ですか?」
これ、実は私立中の先生が一番言いたいことなんです。
「もちろんです。うちは夏期講習も自習室も完備しています」と自信満々に答える学校なら、塾なしの延長線上で6年間を過ごせます。
③「わが子は◯◯(性格や趣味)なのですが、馴染める環境はありますか?」
「鉄道が大好きで少し内気なのですが。。。」のように具体的に伝えましょう。
先生が「ああ、それなら◯◯部の子たちと気が合いますよ!」と即答してくれるなら、その先生は生徒一人ひとりを本当によく見ています。
「家庭学習の状況」を正直に話すメリット
個別相談では、今の学習スタイルを隠さず伝えてみましょう。
- 「塾には行かず、市販の教材でここまで頑張ってきました」
- 「算数のこの単元で苦戦しているのですが、御校の入試ではどの程度重視されますか?」
このように伝えると、先生は「お、やる気があるな」と感じてくれます。
場合によっては、「うちの算数は計算力よりも思考力を見るから、今のまま図形問題を強化すれば大丈夫ですよ」といった、塾の先生顔負けの具体的な学習アドバイスをくれることもあります。
個別相談でこれだけはやってはいけない!NG行動
逆に、先生が「この親御さんはちょっと・・・」と引いてしまう行動もあります。
- 「あと何点あれば受かりますか?」とだけ聞く
→ 学校は点数を取る機械を求めているわけではありません。 - スマホをいじりながら話を聞く
→ 基本中の基本ですが、先生は「親の態度」を通じて「子の家庭環境」を見ています。 - パンフレットを読めばわかることだけ聞く
→ 「部活動は何がありますか?」などは事前に調べておき、個別相談ではもっと深い「内情」を聞きましょう。
個別相談が終わる頃、先生が笑顔で「ぜひ、4月にお会いしましょう」と言ってくれたら、それはもう最高の合格通知をもらったようなものです。
塾の先生というフィルターを通さないからこそ、学校とのダイレクトな信頼関係が築ける。
これこそが「塾なし受験」の醍醐味です。
ステップ4:相談相手がいない時の「第三の味方」を見つける
塾に通っていないと、「最新の入試データ」や「併願校のパターン」といった情報戦で一歩出遅れてしまうのではないか、と不安になりますよね。
しかし、今の時代、塾の正会員にならなくても、プロの知恵を借りる方法はたくさんあります。
孤独な戦いにしないために、賢く「外の力」を借りる3つのルートをご紹介します。
① 模試主催者の「教育相談」をフル活用する
四谷大塚、首都圏模試、日能研、サピックス。
こうした大規模な模試を運営している団体は、実は塾なし組にとって最強の相談窓口です。
- 模試当日の保護者会: 子供がテストを受けている間、別室でプロの解説が聞けます。「今年のトレンド」や「併願の組み方」など、塾生しか聞けないような情報が無料で手に入ります。
- 個別相談コーナー: 模試の会場では、主催者のスタッフに直接相談できるコーナーが設けられることがあります。「塾なしで頑張っている」と伝えれば、膨大なデータに基づいた客観的なアドバイスをくれます。
② 「家庭学習のプロ」によるSNSやブログを辞書代わりにする
今は、元塾講師や現役の教育コンサルタントが、YouTubeやブログで非常に質の高い情報を発信しています。
SNSは情報が多すぎて疲れてしまうこともあります。特定の「この人の考え方は自分たちに近い」という人を数人に絞ってフォローするのが、メンタルを安定させる秘訣です。
③ 過去問添削や「単発指導」をスポット利用する
「志望校の過去問を解いてみたけれど、記述の採点が親ではできな」という時が必ず来ます。
そんな時は、無理に自分たちだけで完結させず、「スポット(単発)」でプロの力を借りましょう。
- ココナラやオンライン家庭教師: 「過去問1年分だけ採点してアドバイスをください」という依頼ができるサービスが増えています。
- 通信教育の質問サービス: Z会や進研ゼミなどの通信教育を利用しているなら、質問制度をフル活用しましょう。
「誰に相談するか」より「何のために相談するか」
最後に、一番大切なことをお伝えします。
塾なし受験において、相談相手を探す目的は「正解を教えてもらうこと」ではありません。
「自分たちの判断に自信を持つための、背中押し」をもらうことです。
色々な人の意見を聞きすぎると、逆に迷ってしまうこともあります。
最後は必ず、「わが子の一番の理解者である自分(親)」が決める。
その覚悟さえあれば、外の力はあなたを強力にサポートしてくれるツールに変わります。
まとめ:親こそが最高の「志望校アドバイザー」になれる
ここまで、塾なし中学受験における「相談相手がいない不安」を解消する方法をお伝えしてきました。
塾の先生は、何百人もの生徒を見る「大量観察のプロ」です。
しかし、あなたはお子さん一人だけを10年以上見続けてきた「わが子観察のプロ」です。
- 模試の数字に振り回されず、成長の跡を見つける。
- 学校の表面的な言葉ではなく、わが子の笑顔が想像できるかを見極める。
- 学校の先生を味方につけ、正直な対話をする。
これらはすべて、塾の先生がいなくても、親だからこそできることばかりです。
「塾なし受験」は、確かに孤独を感じることもあるかもしれません。
でも、親子で悩み、調べ、一緒に学校を歩いたその時間は、合格した先の学校生活、そしてその先の人生においてお子さんの大きな自信になります。
自分たちで選んだ「最高の1校」に向かって、自信を持って進んでいきましょう!
