中学受験を目指す際、多くの方が「まずは進学塾へ」と考えるでしょう。
しかし、私は塾講師として多くの受験生を指導してきた経験から、ある結論に達しました。
それは「戦略的な親のサポートがあれば、通塾なしでの合格は十分に可能である」ということです。
ベストセラー『下剋上受験』のように、親子の二人三脚で最難関校に挑む姿は、今の時代、オンライン教材や優れた市販テキストの普及により、より現実的な選択肢となっています。
今回は、中学受験の「正念場」とも言える小学4年生〜5年生の2年間に焦点を当て、元塾講師の視点で具体的な学習戦略を解説します。
前回の記事⇒塾なし中学受験をする方法を元塾講師が考える(小3までの期間)
1. 塾なし中学受験の成否を分ける「メインテキスト」の選び方
小学4年生(実質的には3年生の2月)からは、本格的な受験カリキュラムが始まります。
ここで最も重要なのは、塾に通わないからこそ、「塾と同等の質の高い教材」を手に取ることです。
※小学3年生の2月からスタートする理由は、大手進学塾のカリキュラムに合わせるためです。
数ある教材の中で、私が強く推奨するのは四谷大塚の「予習シリーズ」です。理由は3つあります。
- カリキュラムの完成度: 中学受験界のデファクトスタンダードであり、1週間単位の単元が明確です。
- 入手性の向上: 以前は塾生限定に近い形でしたが、現在は公式サイトから誰でも購入可能です。
- 解説の質: 近年の改訂でフルカラー化され、図解や解説が非常に充実。独学でも理解しやすい構成です。
日能研やサピックスのテキストより簡単に入手出来るという点と、1週間毎の単元がはっきりしていて「週テスト」で定着度を確認しやすいという点を考えた結果です。
四谷大塚は昔からの中学受験専門塾ですので、テキストもしっかりしていて安心です。
【最新】テキストの購入方法
現在は四谷大塚公式の「Webショップ」からインターネット購入するのが最も確実です。
海外発送にも対応しているため、塾のない地域にお住まいのご家庭にとっても強力な味方となります。
四谷大塚のテキスト
四谷大塚のテキストはメイン教材として「予習シリーズ」、必修副教材として「計算」「漢字」「演習問題集」、選択副教材「基本演習問題集」「応用演習問題集」「週テスト問題集」があります。
全てを揃えると消化不良を起こします。
塾なしの場合は、以下の5冊に絞って「完璧に」仕上げることを優先しましょう。
- メイン: 予習シリーズ(4教科)
- 副教材: 計算、漢字、演習問題集
- テスト: 週テスト問題集(定着確認に必須)
【追記】栄光ゼミナールの「新演習」
栄光ゼミナールで使用している「新演習」というテキストもネットで購入が出来るようになりました。
新演習が購入可能な「しゅともしCLUB」のサイト(https://syutokenmosi-club.com/)
1週間毎に進めていく方法は予習シリーズと同じです。
オーソドックスな問題が多いので自分で学習しやすいでしょう。
また、レベル別の問題構成となっているので、志望校に合わせてどこまで取り組むかを決めることが出来ます。
御三家レベル
新演習に掲載してある問題全てをやります。
中堅レベル
新演習の練習問題まで(発展レベルはやらない)
2. 【完全版】塾なし中学受験の1週間スケジュール
使うテキストが決まったら、それを1週間でどう消化していくかを考えます。
塾に通わない最大の敵は「中だるみ」です。
小学4年生にスケジュール管理は不可能ですので、保護者が「マネージャー」として以下のタイムテーブルを運用することをおすすめします。
塾なしで中学受験を目指すとしても、曜日ごとに決まった科目・テキストを勉強していくことが大切だと思います。
| 曜日 | 16:30〜17:40 | 19:30〜20:50 | スケジュールの狙い |
|---|---|---|---|
| 月 | 計算・漢字 / 算数① | 社会① | 週前半に重い単元を把握 |
| 火 | 計算・漢字 / 国語① | 理科① | 4教科の全体像を掴む |
| 水 | 計算・漢字 / 社会② | 算数② | 演習問題集でアウトプット |
| 木 | 計算・漢字 / 理科② | 国語② | 読解力・知識の定着 |
| 金 | 計算・漢字 / 弱点補強 | 算数③ | 算数の応用・他教科の復習 |
| 土 | 週テスト(過去問)実施 | テスト直し | 実戦形式での訓練と直し |
| 日 | 計算・漢字のみ実施 / 家族の時間 | 継続のために「オフ」を設ける | |
※①は予習シリーズ、②は演習問題集、③は応用・復習を指します。
- 月・火で新単元を一周する: その週の「難易度」を早めに把握することで、木・金での調整が可能になります。
- 「計算・漢字」は毎日のルーティン: これを欠かすと、6年生で基礎力の差に泣くことになります。
3. 5年生までに「暗記の貯金」を作っておく
上記のような1週間のスケジュールで勉強を進めさせますが、毎週の単元以外にやっておくべきことがあります。
5年生の後半からは算数・理科の難易度が爆発的に上がります。
そこまでに、以下の「知識の土台」を完成させておきましょう。
- 社会:都道府県と日本地図 位置、名称、県庁所在地を「漢字」で書けるようにします。特に「新潟」「愛媛」などの難字は重点的に。パズルや地図ポスターを活用し、「形を見ただけで県名が言える」レベルを目指してください。
- 国語:語彙力の強化 ことわざ、慣用句、四字熟語は、四谷大塚のテキストに加え、市販の語彙集を併用しましょう。
推奨教材:『改訂第2版 中学入試にでる順 四字熟語・ことわざ・慣用句』
4. 保護者はどこまで「教える」べきか?
中学受験の勉強は学校の内容と大きく違ってきます。
特に算数の特殊算や面積図を使った解き方などは、経験者でないと難しいかもしれません。
そのため塾なしで中学受験を目指す場合、保護者の方が中学受験経験者の方が有利なのは間違いありません。
では、どこまで保護者の方がお子様に教える必要があるのでしょうか?
ペースがつかめるまでは手取り足取り見てあげる必要があります。
そしてだんだんとペースがつかめてきたら、分からない問題だけ一緒に見てあげるようにすると良いでしょう。
「塾なし」において、親は「先生」ではなく「伴走者(コーチ)」であるべきです。
教える際の注意点として、出来るだけ中学受験用の解き方にすることです。
確かに「方程式」で解いた方が早かったりしますが、中には方程式で解けない問題があったりもします。
方程式や公式などは、基本的な解き方を理解した後で別の解き方として教えるようにしましょう。
また、一人で解けなかった問題(教えてあげた問題)は、もう一度一人で解いてみることが大切です。
暗記科目については、しっかり覚えているかの確認をする手伝いをしてあげると良いでしょう。
- 手取り足取りは最初だけ: 4年生の夏頃までは解き方を一緒に確認しますが、徐々に「解説を読んで理解する」自学自習のスタイルへ移行させます。
- 「方程式」は封印する: 算数の特殊算などは、面積図や線分図を使った「受験算数」の解法で教えましょう。方程式は時に応用を阻害することがあります。
- 丸付けは親の仕事: 4〜5年生の間は、親が丸付けをすることで「どこで躓いているか」を把握しやすくなります。
小学4〜5年生の塾なし中学受験まとめ
使うテキストは四谷大塚のものをメインにし、足りないものについては市販教材で代用します。
四谷大塚のテキストは種類が多いので、全てではなくピックアップして使用しましょう。
1週間のスケジュールは塾に通う子と同じくらいの時間数を確保することが重要です。
子供に計画を立てさせることも重要ですが、中学受験についての知識がないので、最初は保護者が立てるようにします。
そして、改善・変更をする際には子供と一緒に計画を立て直すようにしていきます。
関連記事>>【小学生のうちに計画力を身に着け、学力アップを目指すか】
関連記事>>【楽しく計画を立て、学力アップに役立つ1冊】
受験学年に向け、毎週の単元を消化していくことが大切です。
その際、志望校によって消化しないといけないレベルが変わってきます。
まだ志望校が決まってきないようでしたら、応用レベルまで頑張っておくようにしましょう。
その方が後々楽になります。
小学6年生の塾なし中学受験については下の記事にまとめました。
関連記事>>塾なし中学受験をする方法を元塾講師が考える(小6編)
もし、どうしても特定の単元で成績が停滞してしまった場合は、無理に親が教え込もうとせず、「プロ家庭教師」をスポットで活用するのも賢い戦略です。


はじめまして。最近記事を読ませていただいているものです。大変参考になる記事ばかりで、毎日仕事の合間に興味深く時にはメモも取りつつ、楽しませていただいております。我が家は新小4、小1の男子がいますが、ほぼ自宅学習で中学受験を考えております。軸としてはZ会中学受験コースを使用していますが、演習問題が不足しているように思い、予習シリーズの中古やZ会から出ている問題集を使用して補っています。ところで、塾なしで予習シリーズ他を使用してのこちらのページに書かれているスケジュールに忠実に従えば、偏差値(四谷大塚や他塾の指標で)どれくらいまでの学校が狙えるとお考えでしょうか。
本人はY60くらいが狙えればと今のところ思っているようで、なんとか私の出来る範囲でサポートしたいと思っています。
コメントありがとうございます。
小学4年生から勉強を始めれば、偏差値60くらいまでは十分狙えると思います。
塾に通っている人と同じくらいの勉強時間を確保することが、1番大切です。
塾の授業の他に、塾の宿題をする時間もありますので、毎日2〜3時間は頑張りたいところです。
また、テストをどうするか考える必要があります。
小学5年生になったら、外部模試を受験してみて、自分の位置を確認しながら、苦手分野の克服をしていくようにすると良いかと思います。
受験まで長い期間がありますが、頑張って下さい!
お返事ありがとうございます。60くらいまでなら狙えるということで、元気づけられました。息子たちと共に頑張りたいと思います!
かめこ様
コメントありがとうございます。
小学4年生からしっかりと勉強していけば、十分可能性はあると思います。
毎週のカリキュラムをこなしていけるようにするため、曜日ごとに科目を割り振ることが大切です。
特に算数が段々と難しくなっていくこと、社会の覚えることが増えることに注意して下さい。
また、偏差値55レベルの学校でも進学実績が素晴らし学校があります。
併願校として、色々と調べてみることをおすすめ致します。
今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。