海外赴任をされていて、受験生のお子様をお持ちの方は、帰国入試を検討されているのではないでしょうか。
帰国入試というと、「一般入試に比べ簡単」という印象がある方が多いと思います。
結論から申し上げますと、最近の帰国入試は簡単ではありません。
高校入試では、確かに一般受験に比べ簡単になっている学校もあります。
しかし、中学入試では一般受験と同レベルといった学校が多くあります。
あまり話題にはなりませんが、帰国入試のデメリットにつて考えてみたいと思います。
帰国入試のデメリットとは
受験日程の前倒し、科目数の減少など帰国入試にはメリットが沢山あります。
しかし、デメリットに関してはあまり話題になることがないと思います。
海外の塾でも実績を出したいと考えているところが多いので、とにかく帰国入試をすすめてくる講師がいます。
中には、「海外にいるのだから絶対帰国入試です!」と中1ぐらいの時から話をしてくる講師もいます。
では、そんなメリットだらけの帰国入試のデメリットとは何だと思いますか?
実際にあったことを元に説明したいと思います。
合格後に勉強しなくなる
私が高校生だった頃、クラスに帰国子女が3名おりました。
台湾から来た生徒2名、バンコクから来た生徒1名です。
同じクラスではなかったですが、他にも帰国子女が数名おりました。
私の学年は人数が多くて600人ほど生徒がいました。
高校に入学してすぐ実力テストがあり、成績表には点数・偏差値の他に順位が記載されていました。
同じクラスの帰国子女の生徒と仲が良かったので結果を見せてもらうと、3人とも600台です。
帰国子女なので頭が良いと思い込んでいた当時の私には驚きでした。
その後、卒業まで3人は下位の成績でした。
実際に海外で指導をするようになり、当時の原因が分かりました。
メリットでもある入試日程の前倒しが大きな原因です。
中には10月や11月に入試があり、それで進学校が決定してしまう場合もあります。
同じ学校でも一般入試であれば入試日が2月だったりするので、3~4ヶ月の違いがあります。
この期間、帰国入試で進学が決まった生徒は、他の受験生のように勉強しておりません。
ここでの差が高校3年間の成績に影響を与えていると考えられす。
中学3年生の帰国入試日までは、他の一般入試を受験する生徒と同じくらいの学力だったのが、帰国入試が終わってからの3~4ヶ月の間で大きく差が出来てしまいます。
これは海外で指導していて、嫌というほど見てきております。
帰国入試で不合格になるとダメージが大きい
前倒しで実施される帰国入試で不合格になることもあります。
お子様にとって受験での不合格というのは、大きなダメージを受けることになります。
特に中学受験の場合ですと、12歳のお子様ですので、受験自体を怖がってしまう可能性が出てきます。
そうすると、2月の受験までの期間、いくら勉強をしても身にならなくなってしまいます。
試しに早い時期にある帰国入試を受けるといった場合、軽い気持ちでの受験かもしれませんが、気をつけないと後々まで影響を及ぼすこととなってしまうかもしれません。
デメリットを克服するためには
デメリットを克服して、帰国入試を上手に活用したいものです。
日本にいると受けることが出来ない帰国入試ですので、チャンスを活かせるよう事前の準備・心構えをしっかりとしておきましょう。
勉強の継続のために
試験に合格した後どうするかというところを気をつけないと、高校入学後に大変なことになってしまいます。
高校での勉強は内容も難しくなりますし、その高校が設ける基準を超えた生徒の集まりの中での競争になるので、なかなか上には行けません。
そこで、帰国入試の単願を狙うのであれば厳しいですが、単願でなければ第一志望は2月以降に入試がある高校にすることをおすすめします。
そうすれば、他の受験生と同じように2月までは高いモチベーションを維持しながら受験勉強を続けることができるからです。
本当は受験後の1ヶ月も勉強しておくことが望ましいのですが、気が緩んでしまいなかなか難しいのが現実です。
たかが1ヶ月ですが、高校内容の先取りをしておくと大きな差がつきます。
帰国入試で単願受験をする場合、進学校の決定が早くなることがあります。
その場合は注意が必要です。(私の高校時代の帰国子女3人は全員単願入試での合格者でした)
できれば、塾で高校の先取りをしてもらうのが良いのですが、塾の方では他の受験生の対応で手がまわらないということがあります。
また、お住まいの国によっては塾自体がないという場合もあるかと思います。
当たりはずれがあるので、一概に良いとは言い切れませんが、オンラインで学習する方法なども検討されてはいかがでしょうか。
その際、注意する点は途中解約可能かという点と、前払い一括ではないという点です。
どちらも万が一、お子様に合わなかった場合に金銭的負担を最小限にするため重要です。
もちろん無料体験が出来るのであれば、それを利用してみることが一番です。(海外からでも問題なく動くかの事前に確認も出来ます)
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帰国入試で合格を取る
前倒しで帰国入試を受ける場合、合格を取れる学校を必ず1校入れておくことが大切です。
たとえば、12月中に本命の学校の帰国入試を受験する場合、その前後に実施される合格が取れる可能性が高い学校も受けるようにしましょう。
もちろん本命の学校に合格すれば問題ありませんが、万が一、不合格だった場合でも他の学校に合格していれば、ダメージは少なくなります。
2月の再受験に向け、精神的に楽な状況を作ってあげることが大切です。
したがって、一時帰国をして受験をする場合、必ず1校は合格出来るような受験パターンを考えてあげるようにしましょう。
まとめ
海外の塾でよく勧めてくる帰国入試。
メリットだけを説明されていませんか?
デメリットにも目を向けておかないと、痛い目にあってしまいます。
もしお通いの塾の担当者がメリットだけを説明してくるのであれば、注意が必要です。